アートユニットThe Pranksの絵を見た一人の作曲家が、「この絵は、そのまま楽譜になる」と直感したところから、『大人になっていくときに見る夢』という作品が生まれることになりました。この作品は、20点の絵画と、20篇の物語と、20曲の音楽が重なり合った「一続きの世界」です。
この作品の制作にあたり、The Pranksは、3000を超す自作の中から20点の絵を選びだし、それらを「組絵」として構成し、各々に物語を描くテキストをつけたのです。そしてこの「組絵」から「組絵のための組曲」が生まれ、今回の演奏会を迎えます。
絵と物語はThe Pranks。作曲家は大原裕子。彼女は、The Pranksの委嘱作品として、組絵のための組曲『大人になっていくときに見る夢』を作曲し、その初演にあたり、宗像礼の新作、英国人作曲家3名の日本初演作品で演奏会プログラムを構成しました。
2018年1月、コンテンポラリー音楽の俊英たちが集結する演奏会が実現しました。音楽ファンやアートファンはもちろん、だれでもが楽しめる新しい表現の世界。この貴重な機会を、ぜひ体験していただければと思います。
プログラム
ジェームス クラーク:2016-E (2016)日本初演
リチャード バレット:vale (2006-12)日本初演
宗像 礼:Okaeri II (2017)世界初演
レベッカ サンダース:Shadow(2013)日本初演
大原 裕子:組絵のための組曲
『大人になっていくときに見る夢』(2017)委嘱作品・世界初演
“Dreams you dream when you grow up“ (2017) World Première
開催概要
大人になっていくときに見る夢
Dreams you dream when you grow up
日時:2018年1月31日(水)18:30開場/19:00開演
(18:40より作曲家プレトークあり)
主催:『大人になっていくときに見る夢』制作実行委員会
協力:宮城大学 鹿野研究室
後援:ブリティッシュ・カウンシル、洗足学園音楽大学
フェリス女学院大学同窓会Fグループ、株式会社ハンナ
お問い合わせ:info@thepranks.net
絵画
絵画を中心に様々なコラボレーションを展開するアートユニット。まるで無意識下で描かれたかのような、自由奔放な作風の絵画はすでに3000点を超える。彼らの絵には見るものに「物語」を想像させる力があり、多様なジャンルの作り手たちが共創する機会を誘発している。なお、プロフィールの詳細は明らかにされていない。
作曲
大原 裕子
英国ブルネル大学大学院舞台芸術研究科博士課程、英国王立音楽大学大学院ディプロマコース修了。ロンドン大学先端音楽研究所特別研究員、BBC交響楽団エンベデッド・プロジェクトのレジデント・コンポーザーに招聘される。作品は武生国際音楽祭、ハダース フィールド現代音楽祭などに選出され、アルデッティ弦楽四重奏団、ELISIONアンサンブルなどに世界各地で演奏される。現在、洗足学園音楽大学非常勤講師。
宗像 礼
スウェーデン、ストックホルム王立音楽大学指揮科を卒業後、英国トリニティー音楽大学指揮科へ全額奨学金を得て留学。スウェーデン、ヨーテボリ音楽大学作曲科でウーレルッツォウ・ホオルムに師事する。現在、Curious Chamber Players 首席指揮者。スウェーデン作曲家連盟会員。スウェーデン・コンサート協会、スウェーデン芸術協議会より作曲を委嘱される。ヨーロッパ各地で現代音楽アンサンブルの指揮者/作曲家として活躍。
演奏
間部 令子
桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。カリフォルニア芸術大学(CalArts)音楽学部修士課程、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)音楽学部博士課程現代音楽演奏学科修了。論文は『無声音を伴うフルート演奏の手引き』。新鋭作曲家の紹介に努め、演奏録音がヨーロッパ各地の音楽祭や音楽教育機関で取り上げられる。2006年競楽VII優勝、第16回朝日現代音楽賞受賞。
西村 薫
東京音楽大学卒業。その後フランスへ渡りオーベルヴィリエ・ラ・クルヌーヴ音楽院等で研鑽を積む。クラリネットを三木薫、内山洋、A.ダミアン、M.ヴェルヴェル、J.コント、即興音楽をP.パニエ氏の各氏に師事。帰国後は都内オーケストラへの賛助出演やTokyo Ensemnable Factory等で活動。現代音楽演奏コンクール競楽ⅩⅡファイナリスト。練馬区演奏家協会会員。
安田 結衣子
京都市立音楽(現京都市立京都堀川音楽)高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。同大学卒業時にアカンサス音楽賞受賞。2007年パリ国立高等音楽院ピアノ伴奏科に審査員の満場一致で入学、2010年同音楽院を最優秀の成績で卒業。2012年第10回現代音楽演奏コンクール<競楽X>入選。現在、東京藝術大学音楽学部、東京藝術大学附属高等学校、国立音楽大学非常勤講師。
迫田 圭
東京音楽大学大学院に給費奨学金を得て入学、卒業。東京音楽大学コンクール入選、第28回市川市新人演奏家コンクール弦楽器部門最優秀賞。ロリエ弦楽四重奏団としてプロジェクトQ第10章に参加。若手作曲家の新作初演にも数多く携わっており、サントリーサマーフェスティバル内の芥川作曲賞選考演奏会ではソリストを務める等、精力的に活動している。現在、東京音楽大学ピアノ伴奏科演奏助手。
夏秋 裕一
東京芸術大学附属音楽高校、同大学を経て、同大学院を修了。泉の森ジュニアチェロコンクール銅賞。KOBE国際学生コンクール、最優秀賞、兵庫県教育委員会賞。室内楽にて第35回霧島国際音楽祭賞。これまでにチェロを河野文昭、上森祥平、宮城健、山崎伸子、各氏に師事。現在は藝大フィルハーモニア管弦楽団チェロ奏者、チェロアンサンブルXTCのメンバーとして、オーケストラや室内楽の分野で活動中。Photo (C) Ayane Shindo
組絵と組曲
組絵
組絵『大人になっていくときに見る夢』は、The Pranks作品から構成された絵画の一連である。これは、3000点を超える“すでに描かれた”絵から選び出されたもの。現実とも非現実ともつかぬ描写の連なりは、見るものに「物語」の想像を誘う。
物語
The Pranksが組絵のために紡いだ物語。20点の絵画に添えられた20篇の詩的な情景である。ランチボックスの片隅から、水上散歩、サバンナの彼方へ。軽やかなシュルレアリスムが紡ぎ出すのは、白日夢のような終わりなきバカンス。
組曲
組曲『大人になっていくときに見る夢』は、日本の現代音楽作曲家、大原裕子による室内楽作品。The Pranksが彼女の作曲のために構成した組絵と物語に添って作曲された組曲である。